コラム

地質時代 2016年4月第7号

平成28年熊本地震

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今回の地震で亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに、今もまだ、苦しい避難生活を送られている方々に、お見舞い申し上げます。

熊本地震の特徴は、第一、震度7が連続発生したこと。第二、86kmにわたる断層帯にそって広範囲に発生している事。第三、震度7が2回、6が5回、5が10回と大きな余震が続いていること。で、いずれも前例のない地震であり、正しい評価は、現段階では難しいようです。

地震の命名について

今回の地震は、「平成28年熊本地震」と気象庁が発表しましたが、気象庁の命名基準は、①陸域ではM 7.0以上震度5弱以上。②顕著な被害(全倒壊100棟程度以上)、③群発地震で被害が大きかった場合。名称の付け方は、「元号+地震情報に用いる地域名+地震」ですが、これとは別に政府が命名する場合があります。

気象庁命名「平成7年兵庫県南部地震」⇒政府命名「阪神・淡路大震災」
気象庁命名「平成23年東北地方太平洋沖地震」=政府命名「東日本大震災」
自然現象としての単なる地震ではなく、地震によって甚大な被害を蒙った事実を忘れないために「○○大震災」という名称は必要であるし、歴史にしっかり刻む必要があると思います。

地震の所轄機関はどうなっているのか?

  1. 気象庁(国土交通省外局):震度速報(震度3以上)、震源の情報、津波情報、各地の震度など
  2. 地震調査研究推進本部(文部科学省):行政施策に直結すべき地震の調査研究の責任体制を政府として一元的に推進するための機関。
  3. 地震予知連絡会(国土地理院):国の機関、大学等で進められる観測成果の集約と発表。
  4. 産総研地質調査所(経済産業省):地質調査のナショナルセンターとして地質情報の整備。

地震メカニズムについての機関は会計監査院あたりで交通整理すればもっと機能的になるかもしれない。他方で、災害対策にあたる機関もまた、自治体・自衛隊・警察・消防がその都度連携しているだけで、緊急物資の配分などSNSで各人が自然発生的に行っているのはいかがなものだろうか?地域コミュニティーの連携、情報集約と素早い初動活動のできる体制が望まれる。

関東地方の活断層と首都直下地震

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1. 関谷断層(那須塩原、塩谷・M 7.5)
2. 内ノ龍断層(栃木県西部・M 6.6 )
3. 片品川左岸断層(群馬県北部・M 6.7 )
4. 大久保断層(前橋、桐生、足利・M7↑)
5. 太田断層(桐生、太田、千代田・M6.9)
6. 長野盆地西縁断層帯(M 7.4~ 7.8 )
7-1深谷断層帯(高崎、東松山・M 7.9 )
7-2綾瀬川断層(鴻巣、伊奈、川口M 7 )
8. 越生断層(越生町・M 6.7)
9. 立川断層帯(青梅、立川、府中・M7.4)
10. 鴨川低地断層帯(鴨川、富山町・M7.2)
11. 三浦半島断層群(三浦半島中南部・M6.6)
12. 伊勢原断層(愛川町、伊勢原、平塚・M7 )
13-1塩沢断層帯(山北町、御殿場・M6.8)
13-2平山-松田北断層帯(開成町・M6.8)
13-3国府津-松田断層帯(大井町・M6.8)
14. 曽根丘陵断層帯(笛吹、甲府・M 7.3 )
15. 富士川河口断層帯(富士宮、静岡・M7.2)
16. 身延断層(身延、富士宮・M 7 )
17. 北伊豆断層帯(箱根、湯河原、伊豆M7.3)
18. 伊東沖断層(M 6.7 )
19. 稲取断層帯(河津、伊豆大島西方沖・M7 )
20. 石廊崎断層(M 6.9~ 7 )
21.糸魚川 -静岡構造線断層帯(M 7.7)

2012年東京都防災会議は「首都直下地震等による東京の被害想定」の報告書を発表していますが、発表当時はかなりインパクトがありましたが、5年もたつとすっかり忘れていました。今度の地震でもう一度記憶に焼き付け、できうる防災対策で備えましょう!