コラム

江戸の遺跡

 

地質時代 第3号 2014年9月発行 第2面 江戸の遺跡

左の写真は、最近オープンした「コレド日本橋」の旧東急デパート新館跡地から発掘した18世紀中ごろの商家の遺跡です。小さくてわからないが、石組みの下水、木組みの下水、井戸、穴蔵、など遺構が多数出土した。とりわけ注目すべきは木組みの頑丈な穴蔵です。穴蔵とは、火事が多かった江戸の町で、頑丈な金庫がない時代、貴重な財産を地下に穴を掘って埋めることで守っていたとのこと。写真でみると、江戸時代の建物は現状地盤よりかなり低いところにあります。これは、度重なる火事や地震、そして空襲での瓦礫が堆積したもので、今回の大規模な再開発がないかぎり財宝が埋もれたままになっている可能性は非常に大きいと思います。

 

 

 

左図は、中央区でこれまで発掘された遺跡の地図です。ほとんど江戸時代の遺跡になります。これらは、建設工事の根伐り工事が契機に発見されることが多いようです。掘削工事でもしないと容易と発見できません。今、都心のビルの老朽化が進み、都からは厳しい耐震基準が指導されています。ビルの解体建て替えはこれからが本番。建設会社は江戸トレジャーハンターになるかもしれません。また、日本橋小伝馬町では伝馬町牢屋敷が発掘されました。安政の大獄で吉田松陰や橋本左内らが投獄、その他、平賀源内、高野長英、渡辺崋山、佐久間象山など歴史上の有名人が入牢してました。