コラム

地震発生確率3%以下の地域が地震に襲われた!

2018年6月15日発行 地質時代第21号 1面

 

地震発生確率は、3%以下

 大阪府北部地震は、2018年6月18日7時58分、日本の大阪府北部を震源として発生した。地震の規模はM6.1(暫定値)で、震源の深さは13 km 最大震度6弱を大阪府大阪市北区・高槻市・枚方市・茨木市・箕面市の5市区で観測した。大阪府で震度6弱以上の揺れを観測したのは初めて。 政府の地震調査委員会は今回の地震を「有馬─高槻断層帯」など三つの活断層に関連している可能性があると発表した。しかし、これらの断層帯のどこかで30年以内に地震が発生する確率は0%から3%。振り返れば、震度7を2度記録した2016年の熊本地震でも30年以内のマグニチュード(M)7.0級の地震発生確率は1%未満だった。地震予測はなぜこうも当たらないのか?

地震は予測不能が世界的常識

地震発生予測の確立

 『日本人は知らない「地震予知」の正体』の著書があるロバート・ゲラー氏(東大名誉教授、地震学)は、政府の予測を「問題だらけ」と指摘する。  「地震が起きるメカニズムは非常に複雑で、現在の科学で予知ができないのは地震学の世界的なコンセンサス。それなのに検証されていない計算式を使い、今後30年間で70%程度の確率で地震が起きるなどというハザードマップを作っている。これはもはや予言の類です」  ゲラー氏によると、政府のハザードマップは(1)地殻にひずみがどれだけたまっているか、(2)地震が周期的に起きているかどうか、の二つの仮説に基づいて作られている。しかし、地震発生が周期的でないことは、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者たちによってすでに明らかにされているという。 地震予知に関する関連予算は20年(平成元年~20年)で2182億円!  これだけの予算を費やしても予測できない。 日本では、地震はいつでもどこでも起こりえる。という事実を否定し、いくつかの地震の巣があって、それ以外は安全という世論を作り上げるための予算であるかのようだ。地震予知を予言の類と切り捨てるゲラー博士は言いすぎと思う。研究そのものは大いに意義あるものだが、自然現象のメカニズムを解明するにはまだ実用的でない、ということだろう。 それにも係わらず、原発の安全性を論じるとき、断層がない、過去に地震の形跡がないから安全、という論議に大いに利用された観がある。 地震メカニズムが科学的に確立するまでは、日本では原発を利用すべきではないだろう。