コラム

地質時代 2014年11月第5号

浦安液状化判決の本質

10月8日と31日、浦安市で発生した東日本大震災での液状化被害の損害賠償裁判が、相次いで一審、住民側敗訴の判決が下されました。

8日の裁判では、三井不動産が1981年以降に行った分譲地に対するもので、判決は「住宅の販売時( 1981年当時)に液状化を予測するのは困難だった」と判断しました。また、三井不動産が研究者の報告をもとに、液状化に有効とされる工法をとっていたことも挙げ、「対策が不十分だったとは言えない」としました。

31日の裁判では、やはり、三井不動産が2003年~2005年にかけて分譲した土地に対するもので、判決は、「揺れる時間が数十秒の通常の地震が想定されていた」と指摘。「今回のように2分も続く地震は、当時の知見では予測不可能だった」として、業者側の責任を否定しました。
住民側にとって、まったく気の毒な判決となりました。判決の趣旨は、「当時は科学的に自然現象を予測できなかったのは、過失ではない。」ということであります。しかし、科学は常に発展しているとはいえ、自然現象が常に新しい課題を提起するのであって、決して科学が自然に追いつくことはないことは明白です。しかも、法律は自然科学のはるか後ろをゆっくりと歩いています。したがって、自然現象に起因する災害被害の行き着く先は「想定外」という聞きなれた言葉に収束していきます。今回の2例の判決の本質は、福島原発と同じ問題が提起されているように思われま
す。

現代社会において、日本人が初めて液状化現象を意識したのは、1964年の新潟地震でした。この時から、液状化を考慮した構造物設計指針の導入が始まりました。以下、概観します。

 

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これでも「想定外」は付きまとうでしょう。さらに火災や倒壊を考慮すると、暗澹たる気持ちになります。しかし、それでも、人々は立ち上がり、復興してきた姿を見るとき、本当の財産と防災は、地域住民の絆、共同体の力以外にないように思われます。

建築家の格言と作品

フランク・ロイド・ライト(1867~1859)

アメリカの建築家 代表作:旧帝国ホテル新館、カウフマン邸(落水荘)、山邑邸、ユニティ教会
若い時は、不倫や放火殺人に巻き込まれるスキャンダラスな人生。70歳代で代表作を作り上げた。長く生きるほど、人生は美しくなる。

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ミース・ファン・デル・ローエ(1886~1969)

ドイツの建築家 代表作:バルセロナ・パビリオン
20世紀モダニズム建築を代表する建築家。バルセロナチェアー(椅子)のデザインでも有名。
より少ないことは、より豊かなこと。
神は細部に宿る。

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ル・コルビュジエ(1887~1965)

フランスの建築家 代表作:サヴォア邸近代建築の五原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面)を体現。
住宅は住むための機械である。

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アントニオ・ガウディ(1852~1926)

代表作:サクラダ・ファミリア
芸術におけるすべての回答は、偉大なる自然の中にすべて出ています。ただ、私たちは、その偉大な教科書を、紐解いていくだけなのです。・・・世の中に新しい創造などない、あるのはただ発見である。

ヴァルター・グロピウス(1883~1969)

代表作:メットライフ・ビルディング
専門家とは、いつも同じ間違いを繰り返す人たちのことである。

ルイス・カーン:

創造とは、逆境の中でこそ見出されるもの

ルイス・サリバン:

形式は機能に従う

フンデルトヴァッサー:

直線に神は宿らない
自然に存在するのは曲線のみで、定規で引いたような直線を徹底的に拒否した。