コラム

古代・中世の利根川と隅田川

平成29年6月6日発行 地質時代第9号 2面

 今の利根川は千葉県銚子市で太平洋に注いでいる。古代・中世には、猿が又(葛飾区水元)、亀有付近で三川に分流して江戸湾(東京湾)に注いでいた。猿が又で東に分かれた流れは太井川に合流する。太井川は渡良瀬川の下流で、今の江戸川である。亀有でそのまま南下する川が中川であり、西へ分かれる川が隅田川(古隅田川)だった。この古隅田川は消滅したが、今の足立区と葛飾区の区境線に沿うようにして流れ、鐘ヶ淵(墨田5丁目)のあたりで入間川に合流した。埼玉県飯能市に源を発する入間川の流路が今の隅田川である。  荒川もかつて埼玉県岩槻市付近で利根川に合流していた。1629年、荒川の河道を入間川に移した。入間川に荒川が合流する川越市古谷から下流も荒川に呼ぶようになった。明治44年、洪水対策のため北区岩淵で東に分流させる工事が始まり、昭和5年に完成した。これが荒川放水路であり、今の荒川である。